· 

アレクサンダー・ガジェヴ ピアノリサイタル

今日は海老名でピアノ講師をされている友達に誘っていただいて、コンサートに行ってきました。

前回のショパンコンクールで反田恭平氏と同率2位だったアレクサンダー・ガジェヴ氏のピアノリサイタルです。

 

ガジェヴ氏はイタリア生まれ。ピアノ講師の父親に手ほどきを受け、9歳でオーケストラと共演、10歳で初リサイタルと幼いころから才能を発揮され、21歳でプレミオ・ヴェネツィア・コンクールで優勝後、ザルツブルグとベルリンで研鑽を積まれました。2013年に浜松国際コンクールで優勝ほか、数々の国際コンクールで優勝され、2021年のショパン国際ピアノコンクールで2位に輝きました。

 

今回のプログラムはドビュッシー、アデス、バルトーク、ラフマニノフなど近現代の作曲家の作品を集めたものでした。

 

演奏前の沈黙の時間と、やがてそこから流れ出てくる霧のような音。一つ一つの音に全神経を通わせた美しい音楽が、滑るように会場内をめぐり、異国の香りがどこからともなく香ってくるような、神秘的な演奏で始まりました。氏の深い音楽性が感じられます。

 

また、激しいバルトークやラフマニノフでは、熱くたぎるものをこちらに通わせ、時には半分立ち上がるようにして弾く姿が胸を打ちました。ここまで音楽に入り込んで演奏出来たら、さぞかし幸せなことでしょう。終わってしまうのが惜しいと思わせられるようなコンサートで、鳴りやまない拍手にアンコールを3曲も弾いて下さいました。

 

終演後、ロビーに貼りだされたアンコールの曲名を撮影していたとき、ふと気が付くとなんとすぐ後ろにガジェヴ氏が立っておられるではないですか。

CD講習者へのサイン会に来てくださったのですが、普通に観客の中に普通に混じってきてくださる屈託のなさに、ガジェヴ氏の暖かさを感じました。

 

帰り道、この冬何回目かの雪になりました。