
2月7日、増田桃香先生のピアノリサイタルを聞きに行ってきました。
プログラムはすべてメトネルというロシア出身のピアニストの作品で、最近増田先生が研究を深められている作曲家です。
プログラム最初のソナタ作品5は4楽章全部で30分ほどある大曲で、緊張感と深い愛情をたたえたシンフォニックな曲です。
第1主題が現れるたび物語の次のページが開かれるようで、それらが確かなテクニックによって雄弁に語られ、身も心も手繰り寄せられるような演奏に見知らぬ世界に引き込まれていました。
後半のプログラムは「おとぎ話」より抜粋。全曲だと41曲もある中から7曲を演奏して下さいました。
「パラディンの行進」「ロシアのおとぎ話」「フリギア旋法」などの独立した標題を持つものも多く、静かに始まったかと思うとコロコロと笑い転げるような軽快さが顔を出し、そうかと思うとそれをいましめるような大人のメロディーが追いかけて出てきたり。それぞれ多種多様な顔をのぞかせてくれる曲たちを、精緻なテクニックと豊かな表現力で聴く人の心を揺さぶるような演奏でした。
増田先生の演奏を聴かせて頂くたび、どうしたらこんなに美しい音で豊かな表現ができるのだろう?と思わされます。
生活の一つ一つがすべてピアノの演奏に役立つと聞いたことがありますが、一日一日を大切に深く捉えながら自分の糧として養っていかなければここまでの表現力に活かすことはできないのではないかと思います。
こんなに豊かに表現できたら、どんなにか演奏が楽しいだろうと思います。