本格的な梅雨を前に、いつもお願いしている調律師さんに来ていただいて、年に一度のピアノの調律。このところ湿度の関係で音がくるっていねのが気持ち悪かったので、この日が楽しみでした。
調律師の河内さんは、国内外の一流アーティストからも頼られる素晴らしい調律師さんです。
いつも鍵盤を鍵盤を外して奥まで掃除してくださってから調律をしてくださいます。
ピアノのキーを全部外したところなんて滅多にお目にかかれません。
河内さんが鍵盤をいくつかまとめて丁寧に外して上の方に置いていくと、だんだん鍵盤の下の部分が見えてきました。この下の部分や外したハンマーにも、優しく丁寧に掃除機をかけてきれいになっていきます。
鍵盤は普段白黒に色分けされているところしか見えていませんが、実は奥までとても長~いんです。その先にフェルトでできたハンマーが乗っていて、鍵盤をたたくとそのハンマーがテコの要領で上に上がり、弦を叩いて音が出る仕組みになっています。この仕組みを知ると、鍵盤をどうたたけばよい音が出るかがわかって、キーのたたき方が変わってきます。
掃除が終わるときちんと元に戻し、そこから調弦です。1つの音には弦が3本あって、それを1本ずつ調弦していきます。ヴァイオリンの調弦のように、狂った音が次第に直っていく音を聞くのは楽しいですし、なんとなくこちらの緩んだ気持ちまで直してくれるような気がします。
すべて終わると、今度は雑巾で丁寧に拭き上げてくださって終了です。調律の終わったピアノの音は明るく澄んで、ピアノが喜んでいるようにも感じられます。年季の入った職人芸はとても美しいと思います。
2時間くらいはかかる調律の合間に、河内さんとは互いの近況報告をしたり、同じ年の子供話で盛り上がったりしているので、あっという間の2時間です。
今「羊と鋼の森」とい映画が始まりました。調律のお仕事は河内さんによれば「地味で大変な仕事。あまりお勧めできない」そうですが、まるで自分の子供のようにピアノを隅々まで大事そうにメンテナンスしてくださる河内さんをみていると、世界中のあちこちに我が子がいるのだなと感じます。音のエキスパートの調律師というお仕事、とても素敵なお仕事だと思いますよ。
また来年もよろしくお願いします。