
素晴らしい演奏とはどういうものでしょうか。
時々、指の練習だけに陥りがちな演奏に出会うことがあります。間違いなく鍵盤を押さえているけど、そこに感動がない。それでは良い演奏とは言えません。
素晴らしかったと思える演奏には何があるのでしょうか。
昨日PMS合唱団のコンサートに行ってきました。
曲はハイドンの「テ・デウム」と「天地創造」です。
この「天地創造」は聖書の創世記の冒頭にある、神様がこの世を創られた7日間の様子を、ハイドンが音楽で表したものです。
オーケストラと合唱団、それにソプラノ、テノール、バスのソリストが、歌と語り(レイタティーヴォ)で物語を進めていきます。歌詞はドイツ語ですが、舞台の両脇に日本語対訳がついて、今どういう内容を歌っているのかがよくわかります。
神様が混とんとしたところから光と闇に分け、大地海とを創り、雨が降ってそこに植物が生え、水には魚が、空には鳥が、地面には動物や虫が生き生きとその営みを始めます。最後にアダムとイブという二人の人間が造られ、すべてに満ち足りた完成した世を神に感謝し、讃美するというストーリーです。
演奏からは光のあふれる大地の様子や、鳥のさえずり、ジャンプする動物たち、そしてアダムとイブがにこやかに会話をする様子が、あたかも目に見えるように伝わってきます。
そう、この「目に見えるような」表現力、これが感動を与える素晴らしい演奏なのだと私は思います。
私はピアノのレッスンでギロックの曲集をよく使いますが、曲にはそれぞれ副題がついていて、何を表現しているのかが子供でもわかりやすい曲作りになっています。レッスンを始める前に演奏をし、その曲の説明をすると、子供たちは次のレッスンでそのたくましい想像力で生き生きと演奏してくれます。
演奏が楽しい、練習がしたいと思えるのは、こういう表現力をつけていくことからではないでしょうか。素晴らしい演奏に出会うと、また自分もこんな演奏がしてみたいと思うものです。ぜひコンサートに足を運んでみてください。